サンフランシスコ、ロサンゼルスを訪問し、芸術の可能性について考えるスタディツアーを実施しました。障害をもつ人たちの総合的なアートセンター(創作スタジオや専用のギャラリー)を運営する『NIAD(アメリカ障害者芸術機関)』をサンフランシスコに訪ね、その理念や、実際の取り組み、運営の方法、アーティスト・ティーチャーの育成などについて見学し、スタッフや利用者との意見交換などを行い、ネットワーク・人材・資金づくりなどのシステムについて考えさせられました。また、美術館における障害者対応プログラムや芸術とヘルスケアに関する施設(病院など)を見学し、障害と芸術をはじめ、芸術のもつ新しい可能性を探りました。
National Institute of Art & Disabilities (アメリカ障害者芸術機関)
1982年にカリフォルニア州リッチモンドに故フローレンス・ルーデンス・カッツとエリアス・カッツ博士によって設立された、障害をもつ人たちのための芸術センターです。ビジュアル・アートのスタジオとそこで生まれた作品を展示、販売するためのギャラリーを運営しています。NIADでは美術の専門教育を受けたアーティスト・ティーチャーが、スタッフとしてひらめきや才能を引き出すためのアドバイスや環境づくりを行っています。 またサテライトスタジオ「クリエイティブ・スピリットギャラリーをもつほか、NIADが直接または、NIADをモデルとしたアートセンターがアメリカ、カナダに20カ所近く運営されており、その先駆的な取り組みは各地に拡がっています。
De YOUNG MUSEUM(デ・ヤング美術館)
障害者、高齢者、子供、移民などあらゆる人に開かれた美術館をめざして、専門のボランティアスタッフを養成、配備しています。その教育やシステムについてレクチャーを受けました。
CREATIVITY EXPLORED(クリエイティビティ・エクスプロード)
サンフランシスコに拠点を置くこのセンタ-では、毎日80人を超える障害者が表現活動を行っている。クリエイティビティ-・エクスプロ-ド(直訳すると、「創造の探求」)は、NIADをモデルに建てられた障害者のためのフルタイムの芸術センタ-で、市内に2つのアトリエを持っている。(その内の1つはギャラリ-を併設している。)ここの特徴は、センタ-に関わる全てのスタッフが現役のア-ティストだということだ。その活動も多様で、絵画、版画、陶芸、壁画、彫刻、写真、布作品から、音楽活動、ビデオ製作、パフォ-マンスにまで渡る。地域のア-ティストとのコラボレ-ションも多い。