みんなでミュージアムは、第8回横浜トリエンナーレのアクセスプログラムに企画協力し、5月18日(土)に「オンラインで楽しむ妄想モクモク鑑賞会」を実施しました。
この企画は、実際に横浜トリエンナーレへ行くことが難しい人、発達障がいや精神障がいのある人などをはじめ、関心のあるすべての人を対象としたオンライン鑑賞会です。
当日は、住む場所や暮らし方の違ういろいろな人と一緒に、あれこれ想像しながら、オンラインで作品を鑑賞しました。
鑑賞会のファシリテーターを務めたカミジョウミカさん、天水みちえさんのお二人に感想をお聞きしました。
【スタッフ】今回の企画「オンラインで楽しむ妄想モクモク鑑賞会」のファシリテーターを終えて、率直なご意見をお聞かせください。
【カミジョウ】 横浜トリエンナーレへ実際に行くことが難しい人などに向けたオンラインイベントは、障害のある当事者として、本当に楽しかったです。
今まで1度、参加したことがありましたが、ファシリテーターは初めての経験だったので勉強になりました。ありがとうございました。
観に行きたいけど行けない人などに向けて、(今後も)今回と同じようなイベントが行われたら楽しいだろうなーと思います。
地方在住者は、東京まで行くことが難しく、面白そうな企画展をやっているのはたいてい都内という感じなので、ぜひまた妄想モクモク鑑賞会の開催を願います。
【天水】 とても面白い企画だと思いました。
最初この話を頂いたとき、企画タイトルが妄想モクモク鑑賞会というもので、統合失調症の私を起用してくださったあたり、なかなか攻めてると思いました。
私は妄想というと統合失調症の症状の被害妄想というネガティブなものをまずは思い浮かべてしまいます。
そんなネガティブな妄想するということがアートを鑑賞するという行為と掛け合わせることで、「自由な発想を膨らましていき空想をどんどん展開させて楽しめる」ポジティブな行為に変化させられます。
(今回は)色々な人たちでアートを鑑賞し、空想や妄想して、その話をしたり、聞いたりできたので、最終的には多種多様な人たちを受け入れられる、こころを作ることに繋がっていくのではと思いました。
【スタッフ】本番(プログラム当日)はどうでしたか?
【カミジョウ】 とても緊張しましたが、参加された皆様とのコミュニケーションをとれたのではないかと思っています。
天水さんのおかげでスムーズに進行ができ、とてもありがたかったです。自分の妄想が皆さんの妄想の入り口になっていたらいいなと思いながら話しました。
【天水】 本番は、今の自分のできるベストかなと思います。私がこのイベントで自分の仕事・役割と思っていたのは、ミカさんの面白い妄想力を上手く引き出して、みんなに見せたい!
そして緩いことや笑わせることを言って参加者やミカさんの気持ちを緩め、リラックスさせることでした。
発言をしやすく、心の壁を壊す役割かなと。かしこまってしまいがちになるのをいかに崩していくかをイメージしていました。
【スタッフ】これからのインクルーシブ(すべての人々を取り残さない、包括する)企画についてや、その他感想などお聞きしたいです!
【カミジョウ】 (今回)目が見えない、見えにくい方が参加された場合、どうやったら作品の特徴などを説明できるかなと考えたりしました。
お子さんとご一緒に参加されていた方もおられましたが老若男女、色んな年代のお話ができたらおもしろいなーと思います。
美術館はアートが好きな方がよく行かれると思うのですが、それほどアートに興味ない方にどうやってアプローチするか...。
もしくは、プロのアーティストさんをゲストに呼び作品の意図を生で聞く時間があると面白いかなと思います。
【天水】 (住んでいる)喜多方市や、猪苗代のはじまりの美術館、福島県内の美術館などで今回の経験を生かすイベントができたらなと、妄想モクモク中です。
今回オンラインでの参加でしたが、都会の早い先端の取り組みを感じることで、とても良い刺激になりました。
ここで感じた風をまた自分なりの形にして、喜多方市の福祉やアートの分野に還元していけたらなと思っています。
<お二人のプロフィール>
カミジョウミカ
長野県安曇野市在住。19歳の時に、常染色体劣性遺伝性疾患のため入院していた病院のスタッフの顔をデフォルメし独学で描き始める。 普段描いているテーマは「カラフルな空想の世界」と「夢の世界」。
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天水みちえ(てんすい みちえ)
福島県喜多方市在住。蝋燭作家。精神障がいピアサポーター。友人2人と福祉×アートトリオてんあい堂を結成。 精神障がい者でも安心して参加できる会津の伝統工芸会津型やキャンドルのワークショップを美術館や福祉施設などで展開中。
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<みんなでミュージアム/NPO法人エイブル・アート・ジャパンが企画協力した展覧会>
第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」
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