こんな展覧会みてきました!
入江泰吉写真展(奈良市写真美術館)
2001年12月15日
「一期一会・・・静の中の動」
写真家の故入江泰吉氏の写真展。自然や風景、仏像の写真と書いてあったので、よくありがちだなぁとあまり興味がなく、最初は入るのはやめようかと思いましたが、なかなか来られる所ではないしせっかくだからと観ていくことにしました。まずは入江氏が写真を取り始めたきっかけやその頃撮っていた写真が展示されていました。時代は戦後直後。疎開していた仏像が本堂に戻る写真から始まり、さまざまな仏像の写真が展示。仏像だけが浮き上がっているような写真で、表情がよく分かり、何となく立体的な不思議な写真でした。そこから、仏像だけではなく大和路の独特の風景や人物も取り始める。入江氏独特の視点で撮られた写真は、普段見慣れた景色であっても、見過ごしてしまいそうなほんの一瞬の風や匂いや表情などすべてが一つとなって一番美しく見える瞬間を見逃さず捉えている。匂い立つ写真・・・。けして作られたものではなく、偶然の一致の瞬間の美。まさに一期一会。そこに、ここ大和路の風景、人物、自然のすべてを愛した入江氏の深い情熱、ぬくもりを感じました。写真は、ただそこにあるものを映し出すのではなく、その奥に秘められたいろんな思いや歴史、そして撮る者自信も投影されているのだと改めて思いました。一瞬一瞬の切り取りの中に静かな躍動がありました。この展覧会を観て、一つの映画を観てきたような感覚を味わったのは、きっと私だけではないでしょう。何事も食わず嫌いをせずに、とにかく味わってみるのがいいですね。私にとっても一期一会の体験でした。(か)