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エイブル・アート・アワード 2007年度支援先

今年度は、昨年に引き続き開催することが出来、全国から制作支援17件、展覧会支援18件の合計35件の応募がありました。制作支援の部は昨年により応募件数が大幅に減り17件と残念な結果になってしまいました。
今回も2006年度に引き続き、従来通りの制作支援4件に、協賛企業であるマツダ油絵具(株)よりアクリル絵の具(現物)が寄贈される「マツダ油絵具賞」の2件が加わりました。アクリル絵の具を有効にお使いいただき、活動の幅が拡がっていくことを期待しています。
展覧会支援については、選考が大いに苦戦。高橋氏の総評にもあるように、今年は何ということでしょう!才能のある作品が目白押し。たくさんの素晴らしい作品に出会うことが出来ました。選考会の結果、伊藤泰行さんを選ばせて頂きました。12月17日から22日まで銀座のガレリア・グラフィカbisで行われる展覧会に是非足を運んでいただけたらと思います。
今後もより充実した支援をめざし、このプログラムを続けていきたいと思っています。そのためには新たな支援者、支援企業が必要です。皆さまからのご支援や支援に関するアイデア、情報提供もお待ちしています。

■ 制作支援の部 (応募数=17件 支援数=4件+2件)
・いわて総合アート企画 アート集団「宙」(岩手県盛岡市)
・NPO法人ネットワークながた 「みにくる」(兵庫県神戸市)
・京都市ふしみ学園 ワークショップ絵画班(京都市)
・NPO法人もうひとつの美術館 色ワークショップと色くらぶ(栃木県那須郡)

*制作支援の支援先には10月に10万円が振り込まれ、画材の購入に充てていただきます。直接制作に関わることであれば使途は自由。 この資金をきっかけにさらに自由で豊かな表現活動が行われることを期待しています。

■ マツダ油絵具賞 (提供:マツダ油絵具株式会社)

制作支援の部の選考にあたって、最終選考まで残りながら支援対象とならなかったグループで、アクリル絵の具での表現が有効と思われた2つのグループに対して協賛企業であるマツダ油絵具(株)よりアクリル絵の具(現品)が贈られるものです。アクリル絵の具を有効にお使いいただき、活動の幅が拡がっていくことを期待しています。

・日本おもちゃ図書館代田おもちゃライブラリー グラスホッパー(東京都世田谷区)
・NPO法人かわせみ かわせみ工房 THANKS-MAN(愛知県長久手町)
■ 展覧会支援の部 (応募件数=18件 支援数=1件)
伊藤 泰行さん
伊藤 泰行さん(兵庫県神戸市)
>展覧会の詳細はこちら
■ 選考者/立ち合い人
高橋 直裕(世田谷美術館学芸員)
サイモン 順子(アートカウンセラー)
中津川 浩章(美術家)
滝川 潔(富士ゼロックス端数倶楽部)
松田 貴子(花王株式会社、花王ハートポケット倶楽部)
松田 孝子(マツダ油絵具株式会社)
松田 勝弘(マツダ油絵具株式会社)
■ 選考評
サイモン 順子(アートカウンセラー)
エイブル・アート・アワードも早くも十年目(実質的には一年ぬけたので九回目)となる。制作支援の応募数は今回例年の半数に近い17件と、その必要性がなくなったのかに思われたが・・・
選考会で私達は一つ大きな課題にぶつかった。つまり、ほぼ異口同音に「展示する」目的が前面に出てきていることである。エイブル・アート・アワードを立ち上げた当初とは、情勢が変わったことをつくづく痛感させられた。
“何んとか創作活動をしたい”から“みせるため(中には売るため)の行動”に力点がうつって来ている。
エイブル・アート・アワードのスタンスはあくまで“自由な生々とした制作活動”にある。個人としてグループにあろうと創作活動は自己をみいだしみがく唯一の場、時間であると思うと、今回は残念ながら4件の制作支援と、2件のアクリル絵具支援にとどまってしまった。
展覧会は大いによろしいのですが、額の購入を「制作支援」で申請をされても、やはり、このエイブル・アート・アワード「制作支援の部」の主旨ではない。展覧会や販売することを否定しているのではなく、むしろ大いに奨励したい。ただ応々に落入りがちな“作業化”に警鐘をならしたいのと、作品が生まれる場を、今一度大切にしたいのだ。
高橋 直裕(世田谷美術館学芸員)
この世の中、物事うまくいかないこともあるものです。昨年は「何となく応募・・・」といった気のない作品の羅列に辞易して、とどのつまりは該当者なしとしたのですが、今年は何ということでしょう!才能のある作品が目白押し。最終的には3名の候補者に絞られたのですが、その制作者にも展覧会をして欲しいと選考会では意見が分裂して、収まりがつかない事態になったのです。このうち一人でも昨年応募してくれたらな・・・、とつい思っても仕方がないことを真剣に考えてしまいました。
そんな、激戦を制して今年のアワードに選ばれたのは伊藤泰行さん。過去殆ど例を見ない独持の作風が注目されました。シュールレアリズムとも素朴派とも、あるいはニューペインティングとも見ることのできる大作の油絵は、心の中に内在する不可思議な非現実的風景を見事に描き出しています。また、明るい色調とは裏腹に何とも言えない『薄気味悪さ』(これは誉め言葉です。念のため・・・)を感じさせる『重さ』が鮮烈な印象を与えてくれます。誠に特異な才能の持ち主です。
今回は長時間に及ぶ議論の末、伊藤さんが選ばれたものの、澤井玲衣子さん、東美名子さんも例年であれば、間違えなくアワードを獲得していたでしょう。展覧会支援の部が定数1件ということが、今年ほど恨めしく思ったことはありません。是非とも来年も応募していただきたく強く希望します。また、アトリエ地空の坂本茂信さんも個人での応募であれば、十分アワード獲得の圏内に入る才能を有した方です。次回を期待しています。
更にさわやかで魅力的な画風で選考者一同の眼を奪った、松尾由佳さんの作品も強く印象に残りました。作品の完成度は高く、色彩感覚も非凡です。今後、懲りることなくアワードに応募していただければと思います。
ともあれ今年ほど選考に悶絶させられたことはありませんでした。まさに嬉しい悲鳴といったところでしょうか。来年もこの感動を味わえることを祈っています。
中津川 浩章(美術家)
「制作支援の部」
しっかりとした理念を持った様々な団体が活動し、またその展開のベクトルもそれぞれで非常に興味深かったです。
いくつか興味をひかれ個人的に訪ねてみたいグループもありました。全体に感じたのは展開の方向に力が注がれすぎていて、具体的に絵を描いたり、ものをつくったりして表現していくことに対する興味や感覚みたいなものを、うまく感じとることができませんでした。
運営されている方々にとっては、「制作」と「運営・展開」とほとんど同じ意味で、分けることができない事象だということは理解できますし、「表現の現場」に対しても、充分に興味や感覚・を持って臨まれていることと考えますが、あえて、「制作支援」という点に絞った意味をもう一度考えてほしいと感じました。

「展覧会支援の部」
今回アワードの選考に関わり、あらためて写真で選考することの困難さを感じました。
とはいえ、多くの魅力的な作品に出会いました。 たとえば松尾由佳さんの作品など、パワフルだったり、新しい方向性を感じ、うれしくなったりしました。 最終的に伊藤泰行さん、澤井玲衣子さん、東美名子さんに絞られ、大いに迷いました。 どの作品も素晴らしく、また作品の傾向が異なっている為、なおさら甲乙つけ難い状態でした。 結果的には、作品が今までにない傾向をもっていることなどが選考する上でのポイントとなりました。
その中で選ばれた伊藤泰行さんは、視覚障害をもってまだ3、4年と聞きました。それは本格的の絵を描きだした時間と重なっていることでしょう。
こころならずも障害をもつことになって、様々な葛藤、苦しみ、怖れを感じたことだろうと思います。

その怖れや葛藤や苦しみをきっかけに、はじめて表現として自覚的にキャンバスにむかい、油彩による奇妙で魅力的な世界を生み出しました。
その世界は不思議なことに苦しみや葛藤が直接的に表現されているのではなく、眼球や地球などの球体にたいする奇妙なイメージ、2重3重に重なった空間の構造、生理的に綿密なタッチや生々しい原色の使い方など絵画的な要素によって成立し、結果的に人間にとっての大きな「問いかけ」になっています。
それは、作品は単なる障害の反映ではなく、障害を持つことにより人間の内部にある「何か」が大きく動き出し生まれてきたたからだろうと考えます。
欠損をもつことによって本人もまわりの人間も、初めてそれがあることに気づき、現れてくる世界があります。
障害がある、ないという問題ではなく、その向こうにある人間という存在の世界の拡がりや深まりが問題なのです。それは当然私達の問題そのものですし、障害のあるなしの線引きは無意味だと感じます。
伊藤泰行さんの作品には、あらためて障害者のアートということを考させ、アートの原点を確認させる力がありました。
ガレリア・グラフィカbisでの展覧会で、多くの作品がみられるのが楽しみです。
滝川 潔(富士ゼロックス株式会社 CSR部/端数倶楽部事務局長)
・展覧会支援の部で、最後の最後まで選考に残った3人の作家の作品は、いずれもそれぞれに違った形で絵に力強さがあり、極めて個性的で他の作品から際立っていた。
・伊藤泰行さんの作品は、ハンディキャップを負ってから絵を描き始めたということをにわかに信じられないほど、その絵から伝わるエネルギーと確かな技術に脱帽。
この方が不幸にして弱視と視野狭窄というハンディキャップを追ったことからなのか、作者の「見たい」という強い念が色や扉・窓といった モチーフに表されているように感じた。作者が今後このギャップを受け入れ、絵を描き進めていく中で、その画風がどのように変わっていくのか興味を覚えた。
・澤井玲衣子さんの作品にもとても驚かされた。形がとけていくのか、流れていくのか、逆にたちのぼってくるのか伊藤さんとは明らかに違う、感性とおそろしいまでの情念を感じた。 モノクロのピアノ、ピアニスト、テノールなどはとくに強烈な印象を持った。(個人的に購入したいと思うほど)
・東美名子さんの絵から実にいろいろなメッセージが伝わってきます。また他の方よりも寡作家なのか、その絵も多彩で、共通のメッセージというか、こだわりがあまり感じられない、それでいてギャラリーに並べたい作品は一見して10指に余るほど。「毒」をたくさん感じました。できればオリジナルを観て見たい。
・最終選考にまで残らなかったものの、松尾由佳さんの作品は、とても印象深いものであった。近くの風景を描いたものであるが、よく目を凝らしてみると何気ない風景を構成する草や木に強い霊気のようなものを感じて一種独特の雰囲気があり、最後まで気にかかっていた。全体の深い色合いがそれをいっそう際立たせている。
・ 全体の感想:絵葉書大のプリント物で作品を評価する難しさをいやというほど感じました。それでも、やはりこうした作品をたくさん見てこられた皆さんの審美眼?には敬服します。私はできれば松尾さんも含めて、4人の方の作品を東京で観たいと思います。 
松田 貴子(花王株式会社/花王ハートポケット倶楽部)
昨年に続き選考会は2度目の参加になりました。今年も感じたことは選考することの難しさです。応募者のアートに取り組む姿勢にはどれも応援したくなるものばかりです。展覧会の部では、昨年度は該当なしという残念な結果でしたので今年は、と期待としまておりましたところ選考に難航を極めるほどすばらしい作品に出会えました。エイブル・アート・アワードを通してこのような芸術活動を支援できるととを嬉しく思うとともに、今度もコミュニケーションや自己表現できる場が広がっていくことを願っています。
松田 孝子(マツダ油絵具株式会社)
今年の気候は異常気象といわれだしてから数年が経ちます。皆様お元気でいらっしゃいましたか?
夏の太陽は皮膚が焼けるようで、またタオルのハンカチが必要な毎日でした。それぞれの場所で、ご制作等をなさいます皆様方は、きっと暑い日々の対策をとられ、ご活躍された事と思います。
松田油絵具(株)の今年の制作支援は選考会の皆様に決めていただきました。そしてマツダアクリルカラーを支援させていただきます。THANKS-MAM様とグラスホッパー様に決まりました。THANKS-MAM様は、受講者の皆様の「意気の向上」をめざされていらっしゃいます。
グラスホッパー様は10人の受講者さんと「自由な表現を大切に」というお気持で会を運営なされていらっしゃいます。 それぞれの特徴があらわれ今後が楽しみです。ささやかですがお役にたてて下さいましたら本当に嬉しく思います。
暑い日も寒い日も風の日も雨の日も、私達も頑張ります。
皆様もどうかお元気で。

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