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エイブル・アート・ジャパンの事業

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RING!RING!プロジェクト

競輪の補助を受けて実施しました
(平成24年度完了事業)

●福祉をかえる『アート化』セミナー@宮城
●福祉をかえる『アート化』セミナー@福島
●福祉をかえる『アート化』セミナー@岩手

project
【活動報告・中間】仙台市市民協働提案事業 SHIRO Lab.ともにつくる実験場
【活動報告・中間】仙台市市民協働提案事業 SHIRO Lab.ともにつくる実験場

【活動報告・中間】
仙台市市民協働提案事業
SHIRO Lab.ともにつくる実験場

 NPO法人エイブル・アート・ジャパンは、2012年度より国内のNPOと協働で、「Good Job!プロジェクト*」を推進しています。
これは、障害のある人の表現を生かした魅力的なプロダクトや、伝統産業・地場産業と福祉施設の協働によるプロジェクトなどを紹介するもので、これまで全国13カ所を巡回し、仕事が生まれる場づくりを行ってきました。
2011年からは東北地方で「Good Job!東北プロジェクト」に取り組み、おもに宮城県内の福祉施設の商品のデザイン力アップやブランディングを支援してきました。
SHIRO Lab.はそのうち仙台市におけるスピンオフ・プロジェクトです。
*「Good Job!プロジェクト」はグッドデザイン賞2016金賞を受賞しました。

●SHIRO Lab.シローラボとは何か?

 SHIRO Lab.は仙台市域に暮らす障害のある人と地元デザイナーが、一緒に商品開発を行うプロジェクトです。知的障害を持ちながら、大変な人気者だった仙臺四郎の名前を拝借しています。四郎は、商売繁盛のご利益がある福の神として、現在も仙台市内の商店などで置物や色紙が飾られています。障害のある人も、あたり前に「町の中の一人」として暮らしていくために、いまこそ仙臺四郎的な人よ、来たれ!そのような思いを込めています。

事業の目的は次の通りです。
(1)アートやデザインの力で、障害ある人の可能性の幅を広げ、「生きがい」「働きがい」のある新しい仕事をつくり、工賃アップを目指す。
(2)障害のある人のアートを産業と結びつけることでコミュニティに新しい仕事を創出する。
(3)地元のクリエイターの人材育成にも取り組みながら、企業などの福祉以外の分野と協働し、仙台市からモデル事業を作りだす。

この実現にむけて、エイブル・アート・ジャパンは、平成28年度仙台市市民協働事業提案
制度に応募し採択をうけ、健康福祉局健康福祉部障害者支援課、経済局産業政策部産業振
興課との協働をスタートしました。


●デザイナーと障害のある人たちとの創造的なパートナーシップを考える。

 4~5月、仙台市市民協働事業の関係者が会議を重ね、「48時間デザインマラソン」と題し仙台市八木山動物公園を舞台に、これまでになかったおみやげをつくり、その成果を障害のある人たちの経済的自立につなげようと試みることになりました。
この48時間デザインマラソンに先立ち、トークイベントを企画。
ゲストのジュリア・カセムさんの主な研究テーマは「インクルージブデザイン」。
これは、平等と相互利益に基づく共同デザインプロセスを用いて、デザイナーと社会的弱者といわれる障害者や高齢者達との創造的なパートナーシップを開発するものです。
「障害者差別解消法」が本格施行された今、この機会に、まずはわたしたち一人ひとりが「障害とは?」「現代社会におけるデザインとは?」を考える機会をもつこと、その先に、障害のある人たちとの真の意味での豊かな協働や商品開発の可能性が広がっていくと考え実施しました。

48時間デザインマラソン関連企画トーク&ワークショップ
ファシリテータ:ジュリア・カセム、ライラ・カセム
2016年7月30日(土)14:00~17:00
会場:TRUNK | CREATIVE OFFICE SHARING
参加者:35人(デザイナー、障害者、その家族、福祉施設職員、行政職員、NPO中間支援組織等)


前半はジュリア・カセム氏による、これまでの自身のインクルーシブ・デザインに関する取り組み、活動の紹介が行われました。
後半は「48時間デザインマラソン 仙台市八木山動物公園編」の事前ワークショップを実施しました。
参加者が「言葉・表現」「風景」「伝統・風習」「食べ物」「建物」の5つのチームに分かれ、仙台のアイデンティティとして大事なものを3つ選びました。
そのうえで、なぜ、この3つが重要なのかを仙台を知らない人に対してプレゼンテーションするつもりで行ってほしい、との言葉を受けて実際に各チームの代表が説明。仙台において特徴的だと思われることを以下のように示しました。

◯言葉・表現:だっちゃ、荒木飛呂彦、青葉城恋唄
◯風景:広瀬川、ケヤキ並木、青葉城
◯伝統・風習:仙台七夕、伊達政宗、仙台四郎
◯食べ物:仙台味噌、仙台白菜、支倉焼
◯建物:宮城刑務所、せんだいメディアテーク、いろは横丁

その後、9月27日(火)、28日(水)のファシリテータを担当するライラ・カセムさんより、2日間で行われるワークショップでは、さまざまな素材=絵を活用したグラフィックを元にした商品シリーズのプロトタイプをつくることが説明されました。
また、今日のワークショップは、ブランディングにおいて重要な要素である、商品アイデアの軸を検討する過程だったと説明し、「みなさんはグラフィックデザイナーの仕事をしました」と述べました。
また、参加するデザイナーが不足しているため、仙台市内の知り合いのデザイナーに声をかけて、情報を拡散するよう強調しました。


●集まれ!48時間デザインマラソン

 9月に実施する48時間デザインマラソンに向けて、参加者の募集を行いました。
定員は30人、参加者は仙台市在住/在学/在勤の方優先で対象カテゴリーは以下の通りです。
A.障害のある人で動物が好きな人。動物の絵が描ける、紙粘土などでつくるのが得意など、動物を自作で表現できる人。さらに、動物の名前をたくさん知っている、動物の生態に関心がある、動物と交信することができる、など動物にまつわる趣味や特技がある人も大歓迎。
B.障害のある人と生産活動を行っている福祉事業所 障害のある人と職員との2~5人のグループ。
C.障害のある人や福祉事業所との商品開発に関心がある、または実績があるデザイナー

デザイナーの参加者集めに苦戦することが予想されたため、産業振興課と協働しながらデザイナーが集まる会議やイベントに参加したり、デザイナーのコミュニティに情報を流したり、参加者を募りました。
これらの活動により、合計12名のデザイナーや企業、学生の参加につながり、新しいネットワークが構築されました。
応募用紙とこれまでの活動の取り組みをまとめたプレゼンテーションシートを元に、8月24日(水)に仙台市の担当各課を交え検討し、参加者が決定しました。
障害のある人個人3名、福祉事業所4団体(障害のある人13名、職員6名)で22名、デザイナー(学生4名、企業1名)12名、合計34名となりました。
参加の決定とともに、A、Bに該当する応募者には、当日までに以下の3つの宿題が課されました。

1. シジュウカラガン+本人の好きな動物の絵
2. ひらがな50音、アルファベットA〜Z26文字、数字1〜10まで
3. 食べ物(7月30日のトーク&ワークショップで話されたものから10個ほど)

開催までのあいだ、運営事務局は会場となる八木山動物公園との打ち合わせ、ファシリテータとの事前打ち合わせを重ね、参加者には当日の集合の方法、持ち物などの事務連絡を実施しました。


●ゴールは「動物園ショップの新商品となる、アーティストの絵を最大限に活用したデザイングッズのシリーズを提案する」

1日目/9月27日(火)10:00〜16:00
 10時の集合と共に、グループごとの顔合わせとなりました。
事務局・柴崎のガイダンスに続き、ライラ・カセム氏がこれまでの活動について語った後、今回のワークショップは「八木山動物公園ショップの新商品となる、アーティストの絵をグラフィック的な素材として活用したデザイングッズのシリーズの提案」であり、全体課題(ゴール)は「動物園ショップの新商品となる、アーティストの絵を最大限に活用したデザイングッズのシリーズを提案すること」と説明しました。条件は、

1. 1チームあたり最低2〜3点のデザイン
2. シジュウカラガンを必ず入れること
3. 動物園以外のショップでも売れるようなもの

以上の3点としました。
説明を受けた後、チームごとにそれぞれのワークエリアに分かれて作業開始。
宿題で描いてきた絵を見ながらディスカッション&ブレストを行いました。
また動物園の中や園内ショップを自由に見学し、商品アイデアにつなげていきました。
午後にはライラ氏が各チームをまわり、その時点でのアイデアを発表してもらい、それを受けて応答。また時間をおいて、改善されたアイデアを聞き、再度フィードバックを行いました。

2日目/9月28日(水)10:00〜16:00
 14時30分の発表本番まで、各チーム自由に作業を行いました。
当初は賑やかな雰囲気でしたが、スライドの作成やグッズの見本作成など、発表のための準備を行い、次第に各チームが集中して作業に取り組んでいる姿が印象的でした。
また昨日に引き続き、ライラ氏が各チームをまわりながらアドバイスを行っていきました。
発表の際には仙台市障害者支援課課長、産業振興課課長、ライラ氏、エイブル・アート・ジャパンの柴崎、以上4名が審査員となり、仙台市の関係課の方々や仙台市八木山動物公園の方も集まりました。
各チームが工夫をこらした発表を行った後、審査を経て結果発表と表彰が行われ、採択されたチームには「優秀賞」、不採択チームには「奨励賞」がそれぞれ授与されました。


●事業の後半に突入、いよいよ商品の試作がはじまります!

 採択されたチームは3件、概要は以下の通りです。

 10月18日に採択チームが集まり、事務局とともにそれぞれの活動の課題やスケジュールを確認しました。
48時間デザインマラソンの際の開放的な表情が一変、これからの活動に対し緊張感あふれる意見交換の場となりました。
事業の目的を達成するには、さまざまな課題も困難もまちうけていることは当然です。
しかし全国で推進される「Good Job!プロジェクト」が抱え、克服してきた成功事例を共有し、Good Job!東北プロジェクトにおいても、私たちなりの成果をだしていきたいと思います。
2017年の2月の販売時には、ぜひ応援をよろしくお願いいたします!

文責:エイブル・アート・ジャパン柴崎
(事業の報告部分は高橋創一氏によるテキストをベースに記述)

SHIRO Lab.チーム
アートディレクター:佐藤志保
ライター:高橋創一
事務局:NPO法人エイブル・アート・ジャパン 佐々木えりな、武田和恵、柴崎由美子
平成28年度仙台市市民協働事業
協働:健康福祉局健康福祉部障害者支援課、経済局産業政策部産業振興課